損益相殺に関する諸論点

いつの給付が控除の対象となるか(未支給分の扱い)

現実に支払がされたものは、当然に控除の対象になります。

問題は、年金のように将来にわたって支給が継続されるものについて、どこまでが控除の対象となるかです。

  • 最判平成5年3月24日民集47巻4号3039頁
    「現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合」に控除の対象となるとし、既支給分及び支給を受けることが確定した分が控除されるとしました。

これによれば、損害賠償請求の訴訟においては、口頭弁論終結時に支給済みのもの及び口頭弁論終結時に支給されることが確定しているものが控除されることになります。
被害者が控除の対象となる年金の給付を受けている
ときは、口頭弁論終結の際に、既支給分及び支給確定分を明らかにしておかなければなりません。

示談による解決の場合は、示談までに、既支給分及び支給確定分を明らかにしておく必要があります。

誰に対する給付が控除の対象となるか

死亡被害者の損害賠償請求権を取得した相続人と、遺族年金等を受ける遺族が一致しない場合、遺族年金等の給付額は、受給権者である相続人の取得する損害賠償額だけから控除され、受給権者でない相続人が取得する損害賠償額からは控除することができません。(最判昭和50年10月24日民集29巻9号1379頁、 最判平成16年12月20日判タ 1173号154頁)。

過失相殺と損益相殺の順序

過失相殺後に損害額から控除
  • 加害者による弁済
  • 自賠責保険金
  • 任意保険金
  • 労災保険金
過失相殺後に損害額から控除
  • 健康保険
  • 介護保険
  • 国民年金
  • 厚生年金
被害者の過失部分に充当しなお余りある場合に加害者過失部分に充当
  • 人身傷害補償保険金
  • 無保険車傷害保険金
  • 車両保険金

費目拘束

費目拘束あり
  • 労災保険金
  • 国民年金
  • 厚生年金
費目拘束なし
  • 自賠責保険金(物損部分には填補されない)
  • 任意保険金

遅延損害金への充当

元本に充当
  • 任意保険金(支払日に元本充当)
  • 加害者による弁済(支払日に元本充当)
  • 労災保険金(事故発生日に元本充当)
  • 国民年金(事故発生日に元本充当)
  • 厚生年金(事故発生日に元本充当)
遅延損害金から充当
  • 自賠責保険金
弁護士費用
  • 弁護士費用
    過失相殺、損益相殺後の損害額元本を基準として、弁護士費用を加算する。
    弁護士費用自体は事故発生日から遅延損害金が発生したものと扱う。
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