重篤な後遺障害が残存し、日常生活動作に制限がある被害者についての将来介護費は、被害者が生存している限りにおいて認められますので、通常は被害者の平均余命まで認められます。被害者が事故後に死亡した場合、死亡が事故の受傷によるものか否かに関わらず、死亡以降の介護費は発生しないものとされています。そして、事故による傷害や後遺障害により、被害者が平均余命まで生存しない蓋然性が高まった場合にも平均余命までの介護費は認められません。
介護費は、逸失利益のような得べかりし利益についての消極損害ではなく、介護費の支出が必要となったことに基づく積極損害であるため、平均余命までの期間のうち介護費の支出の蓋然性が認められない期間については損害が発生しないといえるためです。
この点、問題となることが多いのは被害者が事故により植物状態になった場合の介護費が認められる期間の認定です。加害者側から主張されるように、植物状態となった者の推定生存期間は、統計上、通常人よりもはるかに短いとされ、このこと自体は否定し難いところであるから、平均余命までの介護費を直ちには認めにくいところです。
しかし、植物状態の患者の細菌感染等を原因とする合併症の危険については在宅介護によりある程度防止できることや、植物状態にあるものの、症状は一応安定しており、当分生命の危険を推認させる事情は認められないなどとして平均余命までの介護費用の支払を認める判例もあります。