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被害者に減収がない場合の喪失率の認定

後遺障害が認定された場合、等級に応じた後遺障害逸失利益を損害として認定するのが一般的な実務です。

しかし、例外的な対応を検討しなければいけない場合も多くあります。どのような対応が考えられるか、弁護士法人オリオン法律事務所が詳しく解説いたします。

  • 労働能力喪失率の認定方法 → こちら
  • 【本記事】被害者に減収がない場合の喪失率の認定
  • 被害者の職業に応じた喪失率の認定 → こちら
  • 被害者の具体的な症状に応じた喪失率の認定 → こちら
  • 労働能力喪失期間の認定 → こちら
  • 外貌醜状と労働能力喪失への影響 → こちら
  • 鎖骨変形、骨盤骨変形の障害と労働能力喪失への影響 → こちら
  • 脊柱その他の体幹骨の障害と労働能力喪失への影響 → こちら
  • 下肢の障害と労働能力喪失への影響 → こちら
  • 嗅覚・味覚障害、歯牙障害、脾臓喪失と労働能力喪失への影響 → こちら

問題の所在

被害者の方が公務員である場合等に、後遺障害が残存しても、事故前からの収入減がない場合があります。このような場合に、はたして逸失利益が認められるのか、認められるとしても労働能力喪失率表どおりの喪失率が認められるのかが、賠償交渉で議論になります。
この点は、逸失利益の概念の根幹に関わる問題でもありますので、弁護士法人オリオン法律事務所が詳しく解説いたします。

2つの考え方

後遺障害による逸失利益をどのように捉えるかについては、差額説と労働能力喪失説という2つの考え方が唱えられています。

  • 差額説
    賠償の対象となる損害を、「交通事故がなければ被害者が得られたであろう収入と、事故後に現実に得られる収入との差額」とみる見解です。
    損害論における伝統的な見解です。
  • 労働能力喪失説
    労働能力の全部又は一部喪失自体を損害と捉え、現実に収人が失われたかどうかは労働能力の低下の程度を評価するための資料にすぎないとする見解です。

差額説に対しては、この考えを貫くと、裁判が一区切りする口頭弁論終結時までに減収が認められなければ一切逸失利益が認められないことになるとか、幼児や学生の逸失利益も認められないことになる、との批判があります。しかし、実際には、このように厳格な考え方を貫くことはほとんどなく、裁判の口頭弁論終結時の差額だけを考慮するのではなく、将来における減収をも差額として考慮すべきとされています。

最高裁の立場

最高裁は、

最判昭和42年11月10日

において、被害者に収入減が生じていないことを理由として逸失利益を否定した。併合5級という重篤な後遺障害にもかかわらず逸失利益を否定していることから、同判決は、厳格な差額説に近い立場とみられています。

また、

最判昭和56年12月22日民集35巻9号1350頁

も、同じく被害者に収入減が生じていない事案で、「特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はない」として、差額説を示した上、「後遺症に起因する労働能力低下に基づく財産上の損害があるというためには、たとえば、事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであつて、かかる要因がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合とか、労働能力喪失の程度が軽微であつても、本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合など、後遺症が被害者にもたらす経済的不利益をh認するに足りる特段の事情の存在を必要とするというべきである」と判示しました。

この判決は、厳格な差額説をとらないことを明らかにしている点で、前掲最判昭和42年11月10日を一歩進めるものですが、労働能力喪失説に立つものとまではいえず、緩やかな差額説(口頭弁論終結時だけでなく将来における減収も考慮する)に立つものと考えられています。

実務の考え方

被害者に減収がない事案で、逸失利益を否定した事例は多くありません。否定した裁判例は、12級ないし14級の神経症状が残存したという比較的軽微な後遺障害の事案であることが多くなっています。

一方、減収がないことを考慮し、労働能力喪失率表より低い喪失率を認定した裁判例は相当数あり、労働能力喪失率表と同等の喪失率を認定した裁判例とほぼ同じ程度存在しています。このうち、労働能力喪失率表より低い喪失率を認定した裁判例の中には、定年までは減収がないことを考慮して労働能力喪失率表より低い喪失率を認定しつつ、定年後は労働能力喪失率表と同等又はそれに近い喪失率を認定した例も少なくありません。定年後は、再就職により、それまで減収を免れていた特別の事情が消失するから、労働能力喪失率表と同等の減収が生じる蓋然性が高いという判断であると思われます。

過去の裁判例や賠償交渉の実務で重視されているのは、次のような要素です。

  • 昇進・昇給等における不利益
    職業に応じて、昇進・昇給等における不利益について考慮した事例があります。
    • 勤務先である市の給与体系が勤務実績をより反映させるようになってきており、被害者の定例の昇級も遅れていること
    • 総合職として、様々な部署を経験しながら昇進していくのが通常であるのに、後遺障害のため営業職や生産現場等を経験し難いこと
    • 准看護師から正看護師やリハビリ看護の認定看護師になるのが困難となったこと
    • 教師であるのに担任を持てず、クラブ活動や公式行事の引率もできないこと
  • 業務への支障
    業務内容に応じて、業務上の支障・不利益について考慮された事例があります。
    • 自動車の運転が困難となり外回りの勤務に支障が生じていること
    • 長時間自席に座り高度の知的判断作用を含む業務を遂行するについて、後遺障害により集中力が持続しないため能率や気力が低下していること
    • 疼痛等により長時間上を見る姿勢を取ることや、脚立やはしごの昇降、前屈みの姿勢でハンマーを使う作業を長時間行うことなどが困難であること
    • 患者と日線を合わせて話す姿勢がとれず、患者から助けを求められても対応が困難であり、調理の際に長時間立っていることも難しいこと
  • 退職・転職の可能性
    後遺障害が残存したことにより、退職・転職といった経済的損害が現実化する事情が発生する可能性があることも考慮されています。
    • 後遺障害部位が影響しない部署への配置転換希望が認められなかったこと
    • 症状悪化により再度休職を余儀なくされ、分限免職処分を受ける可能性があること
  • 勤務先の規模・存続可能性等
    勤務先の属性・企業の規模など、現時点で減収がないとしてもその状態が続くだけの環境か否かが考慮されています。
    • 勤務先が世界的に有数の外資系金融機関であり、成績主義・能力主義を採用しており、労働能力の差が労働条件に大きく反映される雇用環境にあること
    • 比較的規模の大きい工事の発注が続き売Lげが上昇したため、被害者の役員報酬も増額されたが、今後とも安定した業績を得られることが確実ではないこと
  • 本人の努力
    減収が発生しないよう、被害者ご本人が努力されていることを考慮した事例もあります。
    • 理学療法、鍼灸マッサージ、ストレッチ、リハビリ等を行っていること
    • 肉体的症状又は精神的な苦痛を我慢して勤務していること
    • 事故前の多年の業績、評価、人間関係及び修練技術で障害を克服していること
    • 業務への支障をカバーするため残業をこなしていること
  • 勤務先の配慮等
    • 和室での接待が不便で他人に代わってもらっていること
    • 荷物を持っての移動が困難で他の職員の助けを借りていること

弁護士法人オリオン法律事務所のサービス

弁護士法人オリオン法律事務所といたしましては、後遺障害等級認定及び労働能力喪失率表を正確に理解するだけでなく、その限界、等級認定表や喪失率表に縛られない主張・立証により依頼者・ご相談者の利益を最大化することが務めだと考えております。

特に、減収がない場合の後遺障害逸失利益についての評価は、被害者ご本人が置かれている状況、今後の見通しを詳細に把握しなければ、的確な交渉はできません。ご本人と深いコミュニケーションをとり、損害立証を行うことを心がけております。

後遺障害逸失利益についてお困りの際は、弁護士法人オリオン法律事務所までご相談ください。

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